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板倉 隆二
no journal, ,
近年、アト秒レーザーパルスの発生が現実のものとなり、電子ダイナミクスの直接観測や制御など新たな展開が期待できる。しかし、波長域が真空紫外光以下の短波長であるため、波形計測には発生以上の困難が伴う。本研究では、コヒーレントに励起されたアルカリ金属のスピン-軌道分裂状態PとPのアト秒パルスによる光電子スペクトルの測定を行えば、線形干渉計測によって、アト秒パルスのスペクトル位相を決定できることを理論的に示し、セシウム原子について数値シミュレーションを行った結果を示す。
杉田 明宏; 横山 啓一; 板倉 隆二; 山田 秀尚
no journal, ,
レーザー同位体分離の基礎研究として、カリウム原子の近接準位を、広帯域極短レーザーパルスの波形整形により選択的に励起することを試みた。実験条件を工夫することにより、励起光由来の散乱光と蛍光を完全に区別することができた。それにより選択性を示すコントラストを1000以上に高めることができた。さらに、レーザー強度が増大したときの励起挙動を、蛍光強度の変化により観測した。その結果、選択原理である励起状態波動関数間の破壊的干渉による励起確率の消失が予想通り不完全になることがわかった。さらに、状態分布がある程度予想された強度依存性を示したことから、高強度チャープパルスによる高選択的励起を実証するために必要なレーザー強度が達成されたと結論された。
岡田 美智雄*; 橋之口 道宏*; 福山 哲也*; 寺岡 有殿; 笠井 俊夫*
no journal, ,
永久双極子モーメントを持つNO, CHCl分子の超音速分子線を不均一電場に通すことによって分子の配向を制御した超音速分子線を生成した。それをSi(111)面とSi(001)面に照射して解離吸着反応を起こさせ、その反応性に対する分子配向の効果を研究した。CHCl分子とSi(001)表面の反応ではKing-Wells法を用いて付着確率を評価し、Cl端から衝突した方が反応性が高いことを明らかにした。また、NO分子とSi(111)表面の反応では光電子分光法で表面の元素を評価し、N端から衝突した方が反応性が高いことを明らかにした。
横山 淳; 大場 弘則; 赤木 浩; 横山 啓一; 佐伯 盛久; 勝又 啓一*
no journal, ,
天然に存在する酸素同位体のうちO(天然存在割合0.204%)は、陽電子断層撮影用検査試薬の原料として用いられており、医療分野で有用な同位体である。本研究では、2,3-ジヒドロピラン(CHO)の赤外多光子解離を利用してOを分解生成物である2-プロペナール中に高濃縮した。レーザー光1パルス照射あたりの2,3-ジヒドロピランの分解確率及び分離係数のレーザー波数依存性,レーザーフルエンス依存性、及び2,3-ジヒドロピラン圧依存性を詳細に調べた。その結果、レーザー波数1033.5cm,レーザーフルエンス2.2J/cm,圧力4Torrの照射条件で、分離係数750の値が得られ、Oが60%まで濃縮した。本研究で得られた分離係数は、今まで報告された最大の分離係数(ジイソプロピルエーテルの赤外多光子解離による350)の2倍であり、2,3-ジヒドロピランが酸素同位体分離の作業分子として優れていることを明らかにした。